日本でオープンマリッジは法律的に認められている?

「オープンマリッジ」という言葉、最近SNSやメディアでやたら耳にするけど、実際のところ日本の法律ではどう扱われているのか?──これ、気になっていた人は多いはずです。

結婚制度や不倫との境界線がごちゃごちゃに語られがちなテーマですが、冷静に整理すると「法律的にはこうなっている」という現実が見えてきます。

本記事では、法律上の婚姻制度とオープンマリッジの位置づけ、裁判や実務でどう扱われるのか、さらに社会的リスクまで一気に掘り下げます。読み終えたとき、あなたは“都市伝説”レベルだった疑問をクリアにできるでしょう。

そもそも「オープンマリッジ」は法律用語ではない

まず最初に確認しておきたいのは、「オープンマリッジ」という言葉自体、日本の法律には一切登場しないということです。民法をひっくり返しても、六法全書を読み込んでも、出てくるのは「婚姻」「内縁」「不貞」あたりで、オープンマリッジなるカタカナ語は存在しません。

つまり現時点では「社会的に使われる比喩的なラベル」にすぎず、法律的には「通常の結婚制度の中で当事者がどんな合意をしているか」という解釈に吸収されてしまいます。例えるなら、結婚制度が大きな“容器”だとすると、オープンマリッジはその中に入れた“マイ調味料”のようなもの。器そのものは変わらないけれど、中身の味付けは夫婦の自由、というイメージです。

ただし「自由」とはいっても、法律の枠組みを飛び出せるわけではありません。婚姻制度は依然として一夫一婦制が基本ですし、他者との関係性が「不貞」と評価される可能性は十分にあります。だからこそ、オープンマリッジを公言するカップルには“リスクを理解しているかどうか”が問われるわけです。

チェックポイント

オープンマリッジは法的な制度ではなく、あくまで社会的ラベルにすぎない。
日本の婚姻制度は一夫一婦制が原則である。
夫婦の合意内容は自由だが、法律の制約を超えることはできない。

不倫とオープンマリッジの境界線はどこにある?

「オープンマリッジは不倫と同じじゃないの?」という疑問、かなり多くの人が抱いていると思います。ここで重要なのは、法律上の「不貞行為」の定義です。最高裁判所は一貫して「配偶者以外の異性と自由な意思に基づいて肉体関係を持つこと」と解釈しています。つまり夫婦が合意していようがいまいが、第三者から見れば“不貞”と認定される余地があるのです。

もし離婚訴訟になった場合、相手側が「精神的苦痛を受けた」と主張すれば慰謝料が認められるケースも。合意があったからといって、法律が「じゃあOK」と見なすわけではありません。簡単に言えば、二人の合意は「家の中のルール」であって、外の社会(=法律)にまで効力を持つとは限らないのです。ちょうど友達同士で「毎月借りた本は返さなくていい」というルールを決めても、図書館に本を返さなければ延滞金を請求されるのと同じです。

ただし最近の裁判例では、夫婦がオープンマリッジ的な合意をしていたことを理由に、不貞の慰謝料を減額する判断も出ています。完全に免責されるわけではないけれど、「合意があった」という事実は一定の考慮要素になる。ここは法律の硬直性と柔軟性がせめぎ合っているゾーンですね。

チェックポイント

不倫は法律上「配偶者以外と肉体関係を持つこと」で定義される。
夫婦の合意があっても「不貞」と評価される可能性は高い。
ただし合意の存在が慰謝料額に影響を与えるケースもある。

裁判や実務でどう扱われているのか?

実際の裁判所は、オープンマリッジをどう見ているのでしょうか。

結論から言えば「婚姻制度に直接影響を与えるほどのものとは考えていない」です。判例をたどると、オープンマリッジ的な合意をしている夫婦の事例では「慰謝料請求は認めるが、合意の程度に応じて減額」といった判断が多い印象です。

弁護士の実務でも、「合意があるから違法性がない」と断言することはなく、「合意があるから通常よりも軽く評価されるかも」というニュアンスで説明されることがほとんどです。ざっくり言えば、裁判所は「合意は尊重するが、法律の原則(一夫一婦制)は曲げない」というスタンスを崩していません。

ここで比喩をひとつ。法律はまるで“高速道路の中央分離帯”のようなものです。多少の車線変更は自由でも、分離帯を突き破って逆走することは許されない。オープンマリッジは、その“分離帯ギリギリ”を走っているようなイメージです。危うさをはらんでいるからこそ、慎重さが求められるのです。

チェックポイント

裁判所は「合意を尊重」するが、一夫一婦制の原則は崩さない。
オープンマリッジ合意は慰謝料減額の要素になり得る。
実務上は“リスクのある自由”として扱われている。

オープンマリッジを選ぶ際の社会的リスク

最後に法律以外の視点も。オープンマリッジを実践する夫婦は、社会的なリスクも背負うことになります。職場や親族に知られた場合の人間関係、子どもがいる家庭での教育的な影響、さらにはSNSでの炎上リスク。これらは法律とは関係ありませんが、むしろ日常生活に直結するリアルな課題です。

「合意してるから大丈夫」と思っていても、周囲がそうは見てくれないことも多い。特に日本のように“世間体”が強い社会では、オープンマリッジの実践は二重三重の説明責任を生み出します。もし続けるなら、法律リスクだけでなく、社会的コストまで冷静に計算しておくことが欠かせません。

まるで「珍しいルールのスポーツ」をプレーしているようなものです。本人たちは楽しんでいても、観客(社会)はルールを知らないから混乱するし、時には批判も飛んでくる。覚悟のないまま挑むと、想像以上の反発に直面することになるでしょう。

チェックポイント

オープンマリッジは法律リスクに加え、社会的リスクも大きい。
世間体・職場・子どもへの影響は軽視できない。
合意を選ぶなら「覚悟」と「説明力」が不可欠。