実は世界で主流？オープンマリッジの国際比較レポート

「オープンマリッジ」と聞くと、どこかアメリカやヨーロッパの一部の人たちだけがやっている特殊な文化のように思う人も多いかもしれません。でも実際には、国ごとに形を変えながら広がりを見せ、社会制度や宗教観とのせめぎ合いが続いています。

本記事では、欧米からアジアまで幅広い国際比較を通じて、オープンマリッジがどう扱われているのかを深掘りします。

「結婚＝一夫一婦制」という前提に疑問を投げかけながらも、それを補完するような新しい関係性の在り方が模索されているのです。読み終えたとき、あなたの結婚観にも少しだけアップデートが入るかもしれませんよ。

欧米で広がる「選択肢としての結婚」

まずは欧米。特にアメリカやフランス、オランダなどでは、オープンマリッジは「選択肢の一つ」として受け入れられつつあります。もちろんまだまだマイノリティではありますが、同性婚が制度化された流れの延長線上で、「結婚＝自由に設計できる制度」と考える人が増えてきました。

例えばフランス。事実婚やPACS（パックス）と呼ばれる市民連帯契約がすでに定着しており、形式に縛られない関係を選ぶ人が多いです。ここに「オープンマリッジ」というスタイルも自然に組み込まれています。

アメリカではもっと分かりやすく、セレブがSNSで「私たちはオープンです」と宣言し、炎上も話題性として楽しむ雰囲気がある。皮肉なことに、炎上そのものが文化を広めるエンジンになっているわけです。

これを身近なものでたとえるなら、Netflixの「おすすめ作品」のようなものです。従来は「結婚＝固定プラン」だったのが、今は「好きなジャンルを選んでOK」という柔軟さに変わりつつある。しかも周囲も「まぁ、あの人ならそういう選択するよね」と納得しやすい土壌がある。まるで食堂で「ベジタリアンメニューあります」と書かれているように、そこにオープンマリッジが自然に並んでいる感じです。

ただし、制度として完全に保証されているわけではありません。法律的には「婚姻＝一夫一婦制」を前提にしている国がほとんど。あくまでも当事者同士の合意が重視される領域で、トラブルが起きたときにはグレーゾーンが残ります。欧米の特徴は、このグレーを社会がある程度許容している点にあるでしょう。

アジアでの葛藤と宗教的背景

アジアに目を向けると、事情はかなり複雑です。インドやフィリピンのように宗教的に離婚すら制限されている国では、オープンマリッジの議論自体が「タブー」とされることも少なくありません。逆に日本や韓国のように宗教色が薄い国では、表に出にくいけれど水面下での関心は高まっている、そんな傾向があります。

例えば日本。表立って「オープンです」と宣言する人は少ないものの、マッチングアプリやSNS上では「既婚だけどパートナーシップは自由」と暗に示す人が増えてきています。韓国でも似た動きがあり、K-POPアイドルの熱愛報道と並行して「結婚の形」に疑問を持つ若者が増えているのが現実です。

これをイメージすると、アジアは「和室に最新家電を持ち込んだ」ような状況に似ています。伝統的な価値観の畳の上に、スマートスピーカーやロボット掃除機が置かれている感じ。便利さは受け入れるけど、古いしきたりとの違和感も拭えない。オープンマリッジも同じで、新しい価値観が入ってきても、宗教や慣習がそのまま残っているから摩擦が起きるのです。

結果として、アジアでは「制度化」よりも「個々の合意」が先行しています。友人同士で「うちはこうしてる」と話す場は増えているものの、法律や社会的な仕組みが追いついていない。このズレこそが、今後アジアにおけるオープンマリッジの最大の課題になるでしょう。

北欧が示す「福祉国家型の柔軟さ」

北欧はどうでしょうか。スウェーデンやデンマークでは、結婚そのものの意味が他の国とは少し違います。福祉制度が充実しているため、「結婚しなくても生活に困らない」という土台があり、そのうえで結婚やパートナーシップをどう設計するかが問われるのです。つまり、結婚が「経済的な必然」ではなく「ライフスタイルの選択」になっているわけです。

オープンマリッジもこの延長で語られます。セクシュアリティの多様性と同じように、「誰とどう関わるかは個人の自由」という前提が社会全体に浸透している。だから特別にオープンマリッジを宣言する必要すらなく、自然に許容されているのです。もし例えるなら、北欧は「コンビニに行けば当たり前にあるおにぎり」のような存在。誰も珍しがらないし、むしろ選択肢の一つとして当然そこにあるのです。

一方で、北欧にも課題はあります。自由すぎるがゆえに、逆に「関係を持続させる意味」が問われるのです。福祉による安心感があるからこそ、結婚やオープンマリッジが「ただの選択肢」となり、軽く見られてしまうリスクもある。そこに「関係の質」をどう組み込むかが、北欧型の次なるテーマだと言えます。

国際比較から見える「未来の結婚観」

こうして国際的に比較すると、オープンマリッジは「特殊な文化」ではなく、「結婚の多様化」という大きな流れの一部だとわかります。欧米では炎上と共に広まり、アジアでは宗教との摩擦の中で模索され、北欧では自然に吸収されている。それぞれの地域が抱える歴史や制度の背景が、オープンマリッジの位置づけを決めているのです。

未来の結婚観を考えると、オープンマリッジは「正しい／間違い」ではなく「合う／合わない」の話に落ち着いていくでしょう。スマホの機種を選ぶように、「自分の人生にフィットする関係性」を探すことが当たり前になる。誰かに押しつけられるものではなく、自由に設計できるライフスタイルの一部になるのです。

最後にひとこと。
この記事を読んで「そんな考え方もあるのか」と思ったら、それが第一歩です。結婚を固定観念から解き放ち、自分と相手にとって心地よい形を選ぶ。そんな未来がすぐそこまで来ているのかもしれません。